アメリカ駐在中の子どもの教育には複数の選択肢があります。日系企業の駐在員家庭を対象とした調査によると、海外で暮らす日本人家庭の多くが インターナショナルスクールや現地校 を選択し、日本人学校は少数派でした。
現地校は学区によって教育の質が大きく変わるため、住居選びの際に学区情報を確認することが重要です。インターナショナルスクールは英語による国際的な教育を受けられる一方、日本語力維持のために補習校に通う子どもも多くいます。
日本人学校(全日制)は日本の教科書を使い、日本と同じカリキュラムで授業が行われるため、日本帰国後の進学がスムーズです。ただし、アメリカ本土では日本人学校が限られており、通学に長時間かかる場合もあります。補習校は週末に日本語と数学などを学ぶ場として利用され、現地校やインター校と併用する家庭が多いです。
教育費は駐在生活でもっとも大きな出費の一つです。
日本人学校の授業料は年間50万~100万円
インターナショナルスクールでは年間100万~400万円
日本の大学の付属校では400万円超
駐在家庭のほとんどが企業から教育補助を受けており、そのうち 80~100% の学費を負担してもらっている家庭が約3割に上ります。一方、企業が一定割合のみ負担する場合は、家庭で100万円以上を負担する例も多く、子どもが複数いると家計への影響は大きくなります。
現地公立校は授業料がかからないものの、課外活動費やPTA寄付、スクールバス代などが発生します。
プリスクール(幼稚園)の月謝は1,000ドル以上、スポーツや音楽教室の習いごとにも1回20〜50ドルかかることが一般的です。
また、アメリカの州立大学は「居住者」であれば授業料が抑えられますが、居住条件を満たさない場合は年間数万ドルの学費となるため、長期滞在の場合は将来の大学進学費用も考慮に入れておく必要があります。
アメリカでは教育環境が多様で、子どもが現地のスポーツチームやクラブ活動に参加しやすいのが特徴です。インターナショナルスクールでは英語力の習得に加え、プレゼンテーションやディスカッションの機会が多く、自主性や多様性への理解が育まれます。現地校に通う子どもは地元の友達ができ、地域社会とのつながりを作ることができます。また、週末に日本人補習校に通うことで日本語力を維持できるため、帰国後の受験や進学にも対応しやすくなります。
教育手当を活用する際には、企業が負担する範囲や上限を事前に確認し、足りない部分をどのように賄うか計画を立てることが重要です。会社が学費の一定割合のみ補助する場合は、残りを奨学金や教育ローンで補填できるか検討しましょう。また、家族を帯同せず単身赴任する場合は、日本に残る子どもの学費や塾代に赴任手当を充てることも可能です。
グローバルな環境で育つ子どもたちは語学力や国際感覚を身につけやすく、将来の進路にも大きな強みとなります。教育費は高額ですが、企業の手当と慎重な家計管理によって、海外駐在は子どもにとって貴重な投資となるでしょう。
(つづきはこちら)第6回 車・交通と駐在の移動事情 – 自動車社会のリアル