第6回 車・交通と駐在の移動事情 – 自動車社会のリアル

社用車支給とガソリンカード

アメリカは広大な土地と車社会で知られており、駐在員の移動手段として自動車は欠かせません。

多くの企業は 社用車1台を支給 し、リース代・保険・ガソリン代を負担します。

単身赴任の場合は1台のみですが、家族帯同の場合には2台目を自費で購入する必要があるケースもあります。カリフォルニア州では、単身赴任者の車両費用は月820ドル(約12万円)で会社が負担し、家族帯同では1台目のみ会社支給という事例が紹介されています。ガソリンや高速道路料金は専用カードで支払えるため、通勤や週末のドライブの負担がほとんどないのは嬉しいポイントです。

ただし、2台目の車や家族の自家用車にかかる費用は自己負担となるため、保険料や維持費を考慮する必要があります。また、会社支給の車は契約期間終了後に返却するのが基本で、帰国時の売却手続きは不要ですが、自分で購入した車を持ち帰る場合は輸出手続きや税金が発生します。

運転免許と現地の交通事情

アメリカで運転するには、日本の運転免許証と国際運転免許証で一定期間は運転できますが、長期滞在者は現地の州が発行する運転免許証への切り替えが必要です。筆記試験は英語が基本ですが、一部の州では日本語で受験可能な場合もあります。交通ルールや保険制度が日本と大きく異なるため、赴任先の州の情報を事前に調べ、安全運転を心掛けましょう。

治安や交通事情が悪い地域では、企業が 運転手付きの専用車 を用意し、駐在員が自分で運転しないようにするケースがあります。一方、アメリカの都市では運転が一般的で、運転手付きは稀です。交通量が多い都市部では渋滞や高額な駐車料金に悩まされる一方、郊外では公共交通機関が発達していないため自家用車が必須です。

公共交通と出張移動の実態

ニューヨークやシカゴなど公共交通が発達した都市では地下鉄やバスを利用する駐在員もいますが、運賃は1回1.75ドルから7ドル程度と日本と同程度かやや高めです。ライドシェア(UberやLyft)は便利ですが、距離や時間帯によっては20~40ドルかかり、毎日の通勤には向いていません。駐車場料金はダウンタウンで1時間5〜15ドル、月極で150~300ドルとなり、車社会ならではのコストがかかります。

駐在員は現地法人の担当業務だけでなく、北米各地への出張や本社への帰国出張が多く、飛行機での移動が頻繁です。会社は航空券と宿泊費を負担し、出張手当が支給されます。出張で利用した航空会社のマイルは個人に貯めることができる場合が多く、家族旅行に活用する駐在員も少なくありません。長期休暇の前後に出張やホームリーブを組み合わせ、マイルを有効活用するのが賢い方法です。

車社会の楽しみ方と注意点

アメリカでの運転は、日本と比べてスピード制限が高く、道路が広いことから快適に感じられます。週末には広大な国立公園やビーチへドライブに出かけることができ、アメリカならではの自然を満喫できます。ガソリン価格は1ガロン4~5ドル程度と2025年現在は落ち着いていますが、州ごとに税率が異なるため事前に調べておきましょう。

一方で、駐在員の飲酒運転は厳しく罰せられます。飲酒運転の罰則や保険料の増額は日本よりも厳格なため、タクシーやライドシェアを積極的に利用し、事故や違反を防ぐことが重要です。また、車のメンテナンスや保険更新を会社に任せきりにせず、自身でもスケジュールを把握して安全に運転してください。

(つづきはこちら)特別編 年齢別モデルケースと具体的な収入例